■末期症状
最近は世間でも温暖化問題はよく耳にするようになってきました。しかし温暖化問題の本当の恐ろしさをキチンと理解している人がいったい何人いるのか心配なところです。心のどこかで他人事のように感じていませんか?それとも「まだまだ先のことだから・・・」とか「自分が取り組む問題ではない」とか「悲観的に考えたくない」など様々な思いがあることと思います。
まず第一に知ってほしいことは「地球温暖化は想像以上にとても危険」な状態にあるということなのです。「地球と人類にとっての危機」と解釈しても結構です。けっして恐怖をあおるつもりではないのですが、重大問題ということには変わりありません。ですからキチンと理解してキチンと対処してゆかなければなりません。取り返しのつかない地点まで来ているということ、緊急を要しているということをここで自覚する必要があります。自覚できない理由があるとすればだたひとつ、温暖化の実態を知らないからにほかなりません。
国連が京都議定書の気候変動枠組条約を何年もかけて、毎年国際会議を開いて、各国の首脳陣と有識者を招いて議論を繰り返すのは、いったいなぜなのでしょうか?答えは簡単です。地球温暖化がとても危険で超ヤバイ状態だからです。もしも大した問題でなければ、これほどの国際会議を10回以上(2005年現在)も重ねる意味があるのでしょうか?お役人の単なるお祭り集会だとしても、新しい国際条約を作る必要があるとすれば、やはり重大問題にちがいありません。しかも急いで取り組んでいることを考察すれば、症状はかなり危険な状態だということは間違いないのです。地球のメカニズムは人間の身体のメカニズムと共通する部分が多いのですが、肉体的に病気(成人病生活習慣病)が発病して自覚症状が現れたらほとんどは手遅れになる可能性は高いことを思えば、地球は微熱続きといったところでしょうか。微熱が長く続いたら、かなりの重病ではありませんか?とにかく私たちはすでに引き返せない地点に立っていることを理解しておくべきでしょう。
■地球温暖化の原因追求
地球温暖化の原因は、温室効果ガス(CO2・NOx・SOx・メタン・フロン・他)の大量排出によるものです。なぜ、これらのガスが大量に排出されるのかは明白です。私たちの豊かな生活、便利な暮らしの背景にゴミ問題が浮上してきました。この目に見えないガスもゴミの一種と考えれば、ゴミを撒き散らかし、垂れ流しっぱなし、といった状況です。もしこれらのガスが肉眼に見える物体だとしたらどうなんでしょう。とんでもなく大変なことですね。目に見えないからといって見て見ぬふりは禁物です。教育上もよろしくありませんし、子供たちはそんな大人をよく見ています。今の子供たちは、それらがちゃんと見えていて大人の不始末を近い将来自分たちが解決して行かねばならないと本能的に感じ取っています。理不尽と矛盾を感じながら複雑な感情を抱くのです。やはり大人の責任は大きいと思います。
ガス排出源は、化石燃料・発電所・自動車・航空機・ゴミ焼却・冷媒など、およそ一通り思い浮かぶことでしょう。ところが従来から指摘されているそれらは全体の極一部にしか過ぎません。実際の排出源はもっともっと多種多様です。生物の呼吸・消化・汚物・堆肥・田畑・ゴミ蓄積場・深海底・活火山・北極圏の永久凍土(気温上昇によりメタンハイドレート溶解)、といったように、思わぬところからの排出量のほうがはるかに大きく関与しています。もっと広く見渡せばあらゆるもの全てが排出源といっても過言ではなくなってきます。いわば生命体の営み全てが排出源とも言えますし、人間界でいうなら消費・経済そのものが全てCO2排出源と言えるでしょう。「植物や森林は同じ生命体でも違うじゃないか」というあなた、ちょっとまってください。実は植物も光合成をしていない時は呼吸をしています。老いた森林は光合成率も悪く、じつはCO2排出源だったりするのです。※(アマゾンの排出量)
私の知る限り、CO2を吸収できるのは、成長過程の植物とシアノバクテリア(藍藻類)と珊瑚と海洋水くらいです。これらの自然回復力だけが唯一のカギなのですが、どれも減少傾向にあるとすれば悪循環が加速することになります。自然回復力がすでに限界に達し許容を超えたからこそ温暖化の症状が現れてきているという状況なのです。まだまだ余裕があると思っているとしたら大間違いなのです。
1800年代の産業革命以降、それまでの自然界には無い、破竹の勢いで排出し続けてきたエネルギー利用の見返りが地球温暖化なのです。
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